時間外労働の上限規制に関するQ&A

令和元年5月25日  発行

2019年4月より、36協定で定める時間外労働に、罰則付きの上限が設けられました。(中小企業に対しては1年間猶予され2020年4月からとなります。)今月号では、この制度についてQ&A形式で解説します。(制度の概要につきましては、労務情報NO.297をご参照ください。)

【Q1】   中小企業は上限規制の適用が1年間猶予されますが、その間の36協定届は従来の様式で届け出てもよいですか。

【A1】   適用が猶予される1年間については、従来の様式の届出でかまいません。また新様式の記載項目は旧様式における記載項目をカバーしておりますので新様式で届出することも可能です。その場合、新様式にあるチェックボックスについては、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満、2~6か月を平均80時間以内とすることについて協定していない場合にはチェックは必要ありません。

【Q2】   休日労働の時間も含めて管理しなければならない時間外労働の上限とはどういったものでしょうか。

【A2】   労働基準法では、時間外労働と休日労働は別個のものとして取り扱います。

○ 時間外労働 → 法定労働時間(1日8時間・週40時間)
        を超えて労働した時間

○ 休日労働  → 法定休日(1週1日又は4週4日)に
        労働した時間

《 時間外労働のみで管理するもの 》

① 36協定により延長できる時間の限度時間
  (月45時間・年360時間)

② 36協定に特別条項を設ける場合の年間の上限
  (年720時間以内)

《 時間外労働と休日労働の合計で管理するもの 》

① 時間外労働と休日労働の合計の上限
  (月100時間未満)

② 2~6か月の上限(平均80時間以内)

【Q3】   時間外労働と休日労働の合計が、2~6か月間のいずれの平均でも80時間以内とされていますが、この2~6か月は36協定の対象期間となる1年のみ計算すればよいのでしょうか。

【A3】   2~6か月の平均で80時間以内とする規制については、36協定の対象期間にかかわらず計算する必要があります。

なお、上限規制が適用される前の36協定の対象期間については計算する必要はありません。

【Q4】   同一企業内のA事業所からB事業所へ転勤した労働者について、両事業所における時間外労働時間数の通算はどのように判断されますか。

【A4】   上限規制の内容により、通算されない場合、通算される場合があります。

《 通算されない 》

○ 36協定により延長できる時間の限度時間
   (月45時間・年360時間)

○ 36協定に特別条項を設ける場合の1年についての
    延長時間の上限(年720時間以内)

《 通算される 》

○ 時間外労働と休日労働の合計の上限(月100時間未満)

○ 2~6か月の上限(平均80時間以内)

【Q5】  どのような場合に、法違反と判断されますか。

【A5】  主な法違反となるケース

① 36協定の締結・届出をせずに時間外労働を行った場合

② 36協定で定めた時間を超えて時間外労働を行った場合

③ 時間外労働と休日労働の合計が月100時間以上となった場合

時間外労働と休日労働の合計が月100時間以上となった場合解説図

④ 時間外労働と休日労働の合計時間について2~6か月平均のいずれかが80時間を超えた場合

2~6か月平均のいずれかが80時間を超えた場合解説図

⑤ 時間外労働が月45時間を超えた回数が年間で36協定で定めた回数を超えてしまった場合

36協定で定めた回数を超えてしまった場合解説図

(※ 上記例は36協定で定めた回数が6回の場合)