労働時間適正把握ガイドラインについて

平成29年3月25日  発行

平成29年1月20日に『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(以下「ガイドライン」という)』が公表され、今までの基準から内容が変更されています。今月号では、ガイドラインの主な内容と変更点について解説します。

【趣旨・適用範囲】

趣旨として、使用者には労働時間を適正に把握する責務がある事が明記されています。

[適用範囲:対象事業場]

労働基準法のうち労働時間に係る規定(労働基準法第4章)が適用される全ての事業場

[適用範囲:対象労働者]

管理監督者など労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者を除くすべての労働者

※事業場外労働を行う者については、みなし労働時間制が適用される時間に限ります。

※対象外となる労働者についても、健康確保のため、過重な長時間労働を行わせないようにするなど、使用者は適正な労働時間管理を行う
責務があります。

【労働時間の考え方】(今回から追加された項目)

○労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間
に当たります。

○労働時間に該当するか否かは、労働契約や就業規則などの定めによって決められるものではなく、客観的に見て、労働者の行為が使用者から
義務づけられたものといえるか否か等によって判断されます。

○たとえば、次のような時間は、労働時間に該当します。

①使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に
関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間

②使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で
待機等している時間(いわゆる「手待時間」)

③参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

【労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置】

○使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること

(1)原則的な方法

・ 使用者が、自ら現認することにより確認すること

・ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

(2)やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合

①自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、
十分な説明を行うこと

※労働時間を管理する者への説明が追加されました。

②自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には
実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること

※実態調査のうえ、労働時間の補正をすることが追加されました。

③使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。
さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、
労働者等において慣習的に行われていないか確認すること

※違法な慣習がないかを確認することが追加されました。

○賃金台帳の適正な調製

使用者は、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を
適正に記入しなければならないこと